FMおかざき76.3「心の宅急便」の75回目の放送です。
言霊シリーズの第3弾「う」の話です。
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みなさんこんにちは。
私たちの日本は「言霊の幸ふ国」と言われてきました。
「言霊(ことだま)」というのは、「言葉に宿る霊的な力」のことです。
「善いことばは吉事を招き、不吉なことばは凶事をもたらす」という信仰ですね。
これは、「言(こと)」=「事(こと)」という考えから来ています。
この言霊信仰は、我々神主が神前に奏上する「祝詞(のりと)」や、忌み言葉などにみられます。
そこで、色々な「言葉」について考えてみたいと思います。
先々週の「あ」、先週の「い」の話に続いて第3弾!「
う」のつく言葉についてみてみましょう。
「う」にはア行の「う」とワ行の「う」(居(う)、座(う)など)がありますが、今日お話しするのは、先ずア行の「う」です。
さて・・・
皆さんが「う」のつく言葉で思いつくのは何でしょう?
うみ(海)、うえ(上)、うし(牛)、うつ(打)、うける(受)、うる(得)、・・・など
色々ありますね。
「う」一音でその名前になる動物は、ウサギの「う(卯)」や長良川の鵜飼いで有名な「う(鵜)」などがありますね。
「う(卯)」や「う(鵜)」は何故「う」なんでしょうか?
定説は無いようですが、「う」という言葉についてちょっと調べてみましょう。
先ず始めに、「うん」という言葉を見てみましょう。
もともとは「う(諾)」という言葉ですね。
これは言うまでもなく、承諾の意を表わす言葉です。お(諾)とも言うそうですが・・・。
いまでは「うん」です。これは「う(諾)」の音便形ですね。
「はい」よりもくだけた感じでしょうか。
でもこの「うん」にもう一つ「う」が付くと「ううん」になります。
これは否定の意味ですね。
「うん」がYESで、「ううん」がNO。面白いものです。
また「うん」の間を伸ばすと「う~ん」となります。
これはYESかNOか悩んでいる状態でしょうか。
実につかみどころのない「う」ですが、これは生物的に一番簡単に発することが出来る音が「う」ということかも知れませんね。
自然発生的につい発してしまう音の「う」ということでしょうか。
「う‐な・る 【唸・呻】」とか「う‐め・く 【呻】」という言葉もありますね。
「う~~~~」という「う」です。
踏ん張るときも「う」ですね。
さてさて、「うむ(産、生)」という言葉があります。
出産することですが、この「産む」とか「生まれる」というのは、「子を生む時に発するうなり声から出た語」というのが語源だそうです。
お母さんが「う~~~」といきむから、「うむ(産む)」なんだということですね。
なるほど。
また、「うひ(初)」という言葉。「初陣」とか「初産」の「初」ですね。
「最初。初め。」という意味ですが、この「うい(初)」は「生まれて初めて」の意なんだそうです。
この「うひ(初)」の「う」も、「産む」「生む」の「う」と繋がっています。
もしかしたら生命の源である「うみ(海)」も「産む」「生み」と何か関わりがあるような気もしますね。
いろいろと繋がっていきます。
「うみ」つながりで「うみ(膿)」という言葉がありますね。
傷口が化膿したときの「うみ(膿)」ですが、実は「うみじる(熟汁)」の略なんだそうです。
「うみ(膿)」は成熟するという意味の「う・む 【熟】」から来ているんですね。
生まれるのも「う」、成熟するのも「う」なんです。
さらに見ていくと、人が死ぬことを「うす(失)」とか「うせる(失)」といいます。
これも面白いですね。
「誕生」から「成長」「完熟」そして「死」まで、全てに関わる「う」です。
更に言えば、埋葬するのも「うむ(埋)」「うめる(埋)」なんです。
正にゆりかごから墓場まで、「う」なんですね。
更に更に・・・。
人一人の一生だけではありません。
「うじ(氏)」という言葉がありますね。
古くは「うぢ(氏)」と書きますが、この「うぢ(氏)」の語源は、ウミヂ(生路)の略かとも、ウミスヂ(生筋)から、あるいはウミツチ(生土)の意か、はたまたウチ(生血)かと色々考えられています。
ただ、全部「う(生)」なんですね。
「う」の「路」であり「筋」であり「地」であり「血」であるのが「うじ(氏)」。
地縁、血縁関係の一族、家族の絆を表すのがこの「うじ(氏)」です。
祖先を大切にする日本人の感覚は、この辺からも窺い知ることが出来ますね。
「氏神さま」とか「氏子」の「氏」も全く同じですね。
ちょっと目先を変えて「うえ[うへ]【上】」という言葉。
空間的に高い位置を意味しますし、物事の表面も意味します。「おもて」という意味ですね。
「うわべ」とか「うわぎ」「うわっつら」なんていう言葉をイメージすると分かりやすいですかね。
「うえ」の対義語は、古代から現代に至るまでやはり「した」ですが、中古から中世にかけて「うえ」は、表面の意も持っていたため、「うら」とも対義関係を持っていました。「うらうえ」という複合語がその証です。
でもこの対義関係は、中世頃から次第に「うら─おもて」という対義関係にとってかわられたと言います。
この「うへ(上)」に対する「うら(裏)」。
物事において、人の目にふれない部分を意味します。
そしてその意味から「心」という意味にもなります。
上代において同じく「心」の意をもつ「うら」と「した」のちがいは、「うら」が、意識して隠すつもりはなくても表面にはあらわれず隠れている心であるのに 対し、「した」は、表面にあらわすまいとしてこらえ隠している心であるとも言われています。
ややこしいですが、なかなか奥が深いですね。
「うらなひ(占)」は、神意をうかがうことですが、この「うら」もズバリ「神様の心」ということですね。
ちょっと怖いのが、「怨恨」。
「うら・む 【恨・怨・憾】」の語源は「うら(心)み(見)る」で、「自分に対する相手のやり方に不満をもちながらも、相手がどういう気持でいるのかを知りたくて、自分の不満をこらえている」というのが原義だともいわれています。
また「うら‐や・む 【羨】」は、「心(うら)病(や)む」の意だそうです。
心はキチンとしていなければなりませんが、「う」には空っぽの意味もあります。
「うつ(空)」です。「空蝉」の「うつ(空)」です。
この「うつ(空)」は、「うつほ(空・虚・洞)」だとか、「うつろ(空・虚・洞)だとか、「うつけ(空・虚)」という言葉とも関連していますね。
面白いですね。
さて、重たくて、マイナスのイメージのある事ばかりも行ってられませんね。
言霊の幸ふ国ですから。
もちろん「う」にもプラスのイメージのある言葉も沢山あります。
先ずは「う(得・獲)」ですね。「える(得)」と同義です。
「う・る(売)」というのもそうですね。
儲かりそうです。
「うるお・う[うるほふ]【潤・霑】なんかも良いですね。
楽しくなってきます。
そう。
「うれし・い 【嬉・快・歓】」もそうですね。
この「うれ」もさっきの「うら(心)」なんだそうです。
「うるわし・い[うるはしい] 【美・麗】」とか、「うつくし・い 【美・愛】」もありますね。
「うた 【歌・唄】」も良いですね。
このように見てきますと「う」にも色んな意味があります。
「十【う】十色」といった感じでしょうか。
最近、閉塞感のある世情ですが、「恨み」や「膿」だらけの世の中ではなくて、・・・・
人々が「潤い」、「美しい」自然や文化に囲まれ、「嬉し」くて、思わずみんなが「歌っちゃう」世の中になって欲しいものですね。
うん。
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